認知症対策 高齢になったときにやっておいたほうが良いこと
更新日:4月1日

人は誰しも年を取っていきます。
高齢になれば様々なリスクが出てきます。認知症をはじめ様々な病気、その後遺症など。
そしてそうなってからその面倒をみるのは、直接的にしろ間接的にしろ、その子供または配偶者、もしくは他の誰かがしていくと思います。
そして様々な手続きが必要になったとき、自分でいろいろなことができなくなってしまう前にその手続きがしやすいように準備しておいたほうがいいです。
私の母が認知症になりました。
それは、ケガの入院中に発症してしまったようです。それまでは多少の兆しはあったのかもしれませんが、認知症ではなかったはずです。約一ヶ月の入院期間中に認知症を発症してしまったのです。
それはコロナの影響であることは否定できません。
面会すらできず、予兆も何もわからないまま認知症を発症してしまったのです。
この記事を書いている時点でもう3年近くまともにあっていません。認知症の発症からは半年程でしょうか。
とはいえ、いろいろな手続きは発生します。
しかし、なかなかスムーズには行かないものです。これはやっておくんだったなぁとかいろいろ思うところがありました。
その経験からこの記事を書いています。
これは子だけではなく、高齢になった当人が準備としてもいいと思います。
0. 役所、銀行等の手続きは原則として本人でなければならない
そうなんです。変な話、本人が生存しているうちは原則として本人でなければいけません。住民票を取るのですらそうです。
亡くなってからはその相続人、1親等であれば手続きは可能です。ただ死亡証明書が必要になってきます。(私は姉が亡くなったときに高齢の母の代わりにすべての相続手続きを行った経験があります)
ただ本人がどうしても手続きができない場合に『委任状』というものを使って手続きをすることができます。しかしその『委任状』も本人の自筆でなければなりません。
じゃあ本人が手が不自由で書けない場合は?
代筆という仕組みがありますが、さらに面倒な手続きになります。
すべて、この『役所、銀行等の手続きは原則として本人でなければならない』ことから発生する諸手続きの準備をしておいたほうが良いということです。
1.マイナンバーカードを作っておく
マイナンバーカードが制度としてできた頃は、それに反発する人が多数いました。しかし、これはすごく便利なものであることは間違いないです。様々な手続きがとても簡単になります。私はその確信があったので真っ先に作りました。
住民票を取るときに、役所の分署へ行ったときに、「マイナンバーカードがあるなら、近くのコンビニへ行ったほうが早いですよ」と言われるほどでした。
わざわざコンビニへ取りに行きましたよ(笑)
確定申告も楽ですね。これによってものの半日で申告書を作成し提出までできてしまうのですから。
住民票を取るのが楽
ということでマイナンバーカードを作っておくと住民票やら印鑑証明やらの簡単な帳票類を取るのがスムーズになります。
ということは、マイナンバーカードがあれば本人でなくても住民票等が取れるのです。(暗証番号が必要ですが)
あと大半の方はしていると思いますが『印鑑登録』はしておいたほうがいいです。例えば、車の手続きには実印が必要です。
例えば売却するときは「実印の押された委任状」が必要なのですが、その委任状と実印である証明の「印鑑証明」が必要になります。
公的な手続きというものは、証明書の証明というように紐づけの公的書類が必要なんです。
ということは、車の手続きの場合、本人の直筆がなくても良く実印の押印と印鑑証明があれば手続き可能となります。
ただマイナンバーカードや実印の管理は当然信頼できる人以外には託さないほうがいいですね。
最強の本人確認の証明になる
そして顔写真がついているので、本人確認の証明書になります。
本人じゃないのに本人確認?
例えば保険の請求手続きで代理人指定をあらかじめしておくと本人じゃなくても申請することができる場合があります。(かんぽ生命など)
しかしその場合でも、本人確認書類として免許証等が必要になります。その際にマイナンバーカードであれば、最も有効な本人確認の公的証明になります。
マイナンバーカードは最強の本人確認証明書です。顔写真、住民データさらにマイナンバーが揃っています。いまや金融機関の手続きではマイナンバーの番号記載が必要なことも多いですから。
金融機関の手続きにはマイナンバーが必要
何かしらの手続きをするときに、マイナンバーの記載が求められることがあります。その時にマイナンバーがわからない、マイナンバー通知カード(マイナンバーカードとは別物)の所在がわからないとき、とても苦労します。
マイナンバー通知カードも使う機会がなければどこかに埋もれて見つけられない場合もあります。
そういうときはどうすれば良いか?
『マイナンバー記載の住民票を取る』ことでマイナンバーを知ることができます。
でも住民票を取るのに委任状が必要かもしれないですね。
マイナンバーカードと書面等でナンバーのバックアップしておくと万全ではないかと思います。
マイナンバーカード、まだ作っていない方は作っておいたほうがいいです。
2.金融資産対策をしておく
認知症が銀行等金融機関に知られると『口座凍結』になってしまう。ネットで調べるとこんな情報が必ず出てきます。
確かにこれは当人の意志とは別のところで、その口座が不当に使われてしまうことから、当人の資産を守るために行う銀行側の対策ではあります。
しかし、老人ホームなど介護施設に入った場合などその費用が発生する場合、凍結されてしまうと子供をはじめ親族に負担がかかってしまいます。
参考までに、実はお金がなくても介護施設に入居可能な仕組みがあります。日本の制度の良いところです。
しかし原則として、年金等収入や預貯金等資産があれば費用負担はしなくてはなりません。
じゃあ、どうするか?
普通に思いつくのが、
キャッシュカードと暗証番号を聞いておき銀行に「認知症」であることを知られないように利用する。
確かにATMで引き出してる限り、銀行窓口に行く必要がないので銀行に知られる可能性は低いでしょう。
しかしそれはすべて普通預金であるなら可能です。
定期の解約やその他の金融商品の解約等は窓口でなければできません。
ではどうするか?
最近よく聞く『家族信託』はっきり言ってこれは現時点ではおすすめしません。別記事で詳しく書きたいと思いますが、まだその制度自体が現実的ではなく対応金融機関が限りなく少ない印象です。
公証役場に聞いたところ、「銀行さんの承諾は取っていますか?」と聞かれたので結局銀行との手続きが必要になります。ということは銀行で対応していなければなりません。
一方的に「公正証書にしてあるから大丈夫」ということではないのです。
まだ健常なうちに銀行に相談する
まだ元気なうちに銀行等金融機関に相談しておくといいと思います。
なぜ相談なのか?というともしかしたら「委任制度」などを設けている金融機関があるからです。私がやり取りした金融機関はその制度があったのですが、ただ気がついたのが遅かったのです。その手続きをするには、「本人との対面でのやり取り」が必要とのことでした。
コロナ禍で銀行にその機会もなかったのです。
そもそも入居している施設が面会不可であったので連れてくることすらできませんでした。
任意後見人制度を使う
認知症等による判断能力低下した際の資産管理のスタンダードが後見人制度ですが、裁判所がどうのこうのとハードルが高いです。
そしてかつて「後見人」になる人は裁判所が選び、その「後見人」に対して報酬が発生するという認識がありました。
默まっていても後見人に対する費用が発生してしまう、そんなことは正直いってしたくありません。
それに対して、新しく「任意後見人制度」というのが2000年から施行されています。すでに20年近く経っているのですが、あまり一般的には認知されていないように思えます。(私も最近知りました)
ただ銀行から進められたので金融機関にはだいぶ浸透しているのではないでしょうか?
特徴としては、
法定後見人制度=判断能力が低下してから、裁判所が後見人を選ぶ(親族でないことが多い)
任意後見人制度=判断能力があるうちに、本人が後見人を選ぶことができる(親族可)
この違いは非常に大きいです。
家族信託と法定後見人制度の中間といったところでしょうか。
でも法整備から20年、私も触れる機会がなかったせいもありますが、一般的に認知されるまで時間がかかりますね。
家族信託も新しいとはいえ、2007年施行ですから既に10年以上経っているにも関わらず浸透していない。
現時点では、任意後見人制度のほうが有効だと思います。現に私が相談した金融機関が推奨していましたから。(私の場合は遅かった…)
任意後見人制度は、金融機関だけでなく不動産にも有効です。なので現状ではこれが一番有効ではないかと思います。
認知症が銀行に知られると本当に口座凍結されるのか?
私は母の普通預金だけじゃ足りないと見越して定期預金の解約を考えていました。
しかし窓口に行くと認知症が知られるリスクが非常に高い。
どうしたら良いものか?
と悩んだ結果、窓口に行ったのですが...
案の定、認知症がバレてしまいました。
その話は別記事で詳しく書きたいと思います。
銀行からの電話で本人の同意確認で、銀行からの簡単な質問に答えられなかったのです。
私は「終わった…」と思いました。
結果、
・複数ある定期預金のうち、一つだけ今回に限り解約可
・他の定期預金は、後見人制度の利用を勧める
・普通預金からの引き出しは従来どおり利用可
となりました。
言ってみれば、半凍結という感じでしょうか。銀行側のこちらの事情に配慮してくれたという感じです。
銀行のほうも100%その規定通りというわけでもなさそうです。まあ、電話のやり取りだけで完全に認知と断定できると言うわけでもないでしょうし。
そのへんの事情はわかりませんが、事実、普通預金は継続して使用できる、しかも堂々と。
認知症がバレないようにとビクビクする必要はなくなりました。
変な話、亡くなった後の相続としての手続きのほうが簡単というかプレッシャーは少なかったです。相続人が死亡診断書を持っていけばいいのですから。
でも銀行側も多少の配慮はあるようですので、まずは勇気を持って銀行に相談してみるのもいいと思います。
ただ、やはりまだ元気なうちに相談するのがベストです。
3.いわゆる終活は特に必要ない
おまけ的ですが、相続手続を業者に頼らずすべて自分で行った経験から、少し思うところを書いてみたいと思います。
特別に資産を持っていたり、その資産を特別な分け方をしたい方でない限り、いわゆる終活(遺言状)は必要ないと思います。
なぜなら、相続は法定相続として相続人と割り振りが決まっているからです。
簡単に言ってしまえば、一親等が相続人となります。まあその構成により、2親等にまで広がる場合もありますが、誰にどのくらい相続されるかは法律で決まっています。
あとはその相続人同士が揉めないこと、それだけです。
「揉めたら裁判で」となるかもしれませんが、法律で配分が決まっているわけですから。不当な配分を求めるほうが不利ではないでしょうか?
あくまでも個人的な見解です。
まとめ
とにかく認知症になる前に対処しておくことがとても重要だと思います。
私は、コロナ禍中の認知症発症というダブルパンチを喰らいました。
やはり事前の準備対策は必要だと感じ、この記事を書いています。
誰かの参考になれば幸いです。